2026年4月 良かった映像10選
Kroi - Kinetic feat. INCOGNITO
Director : Takuto Shimpo(日本)
おしゃれすぎて、びっくりしました。
このMVの肝は、なんと言っても、スリットアニメーションみたいな、テープを何層にも重ねた巨大な背景装置です。これが、干渉縞のような、綺麗な模様を作り出しています。 この装置の美味しいところは、カメラの速度が、背景の巨大なスリットアニメーションの速度と関係しているところですよね。 例えば、サビでは、カメラの移動する速度を速く、一定にすることで、背景のスリットも速く、一定に動くようになります。そうすることで、グルーブ感を生み出しています。
後半の展開のさせ方も見事です。 スリットアニメーションと、万華鏡などの鏡の効果、スリットスキャンなど、一見少し離れているような現象を組み合わせて、また面白い見え方を作り出しています。
アニメ『キャンディーカリエス』
監督:見里朝希(日本)
まじですごいし、癒される。
甘いものが大好きな女の子(アメ)と、その口の中に住んでいる虫歯(カリエス)が主人公。本当なら無いほうがいい厄介者の虫歯に、逆にいろいろと助けられるという歪な関係性が、いかにも見里監督らしい。
目を見張るべきは、その技法で、ストップモーションを土台にしているんですが、キャラも背景も、全部プラ板やアクリル、レジンでできています。実写なのに2次元的、時々3次元的な遊び入り、という、なかなかに複雑かつ見ていて楽しいヴィジュアルスタイルになっています。
1話の、狂人歯医者が起き上がるカット、プラパンを1枚1枚曲げて、アニメーションにしているの、本当に痺れました……
今季の毎週の癒し枠はこれで決まりですね、次回も楽しみ!!!
TVアニメ『魔法の姉妹ルルットリリィ』ノンクレジットED
絵コンテ・演出:小竹歩(日本)
線が太めで強弱があって、グラフィカルに処理されていてめっちゃ好み!
かなり線が太くて、しかも、その線は閉じてるわけじゃなくて、ところどころ隙間がある…… しかも、顔などディテールが欲しい部分だけ線が細くなっています。 この、相当に凝ったヴィジュアルスタイルで、ダンスをさせているのだから、たまげます。本当に大変そう。実現していることにとても感動します。
自分は、アニメーションとグラフィカルな要素が組み合わされた映像が大変に好みなのですが、それの新境地を見れたようで大変に眼福でした。
Coinbase - Your Way Out
Director: Oscar Hudson(UK)
ネットでも話題になってたけど、これすごい。 PS1風の映像を実写で再現するとこから、脱出するっていう。アイデアの勝利です。
うらみ交信 - 稲むり ( 知声 cover )
other all : m•o•e(日本)
なんか流れてきて。色彩と、太いペンでぐりぐりっと描かれた脱力感がクセになる。なんかちょっと泣きそうになりました、疲れてるのかな?
ヨルシカ - 茜
Direction & Animation : 今津良樹(日本)
これも泣きそうになったし、サビの意外性に驚きました。 今津さんって一人でこれ描いてるんだよね、凄すぎるし、好きすぎる。
んoon - SEE YA
Directed by Akihiko Taniguchi(日本)
ゲームエンジンの違和感を前面に押し出した映像群の中でも、音楽とのグルーブ感が群を抜いてある。点滅や並列、操作は単純なのに、めっちゃノリノリになれる!
Don Toliver - No Pole
Directed by rubberband.(US)
変なミュージックビデオ。でも好き。プロダクションデザインの確立したスタイル、日常のようで、ちょっと荒廃しているのが、いい味出してる。ライトポールをポールダンスしているシュールさにも惹かれる。駐車場のポールダンスとスーパーマーケットを彷徨う二軸で行くんかなー、と思ったら、急に地面に埋まり出してびっくり。裏切りというか、予想外がある。そして最後誰もいなくなってて、戸惑う演技がわざとらしくないのがいい。ん、あれ、みたいな感じ。落ちる。
Kungs, Theophilus London - Galaxy
Director: Sam Kristofski(NZ)
古い映画のクルマシーンを、バーチャルプロダクションでやってみるという。 イントロで掴んで、あとはそれで乗り切るいい意味のアホ感がいい。最後で締めるのは見事。
と思ったら、調べたらコレの監督だったし。ICONOCLASTだし。
落下音
監督:マーシャ・シリンスキー(ドイツ)
なんかね、めちゃくちゃ良かったですよね。良すぎて2回観ましたもん。あと、1回じゃあ、何が起きたのか理解しきれていなかった……
最初に見終わった時には、なんか、全身がバラバラになったみたいな、そういう感覚になって。本当に、あの家で、世代を超えて受け継がれてきたトラウマみたいなものを、一身に受けたような感じでした。
でもね、不思議とそれは不快なだけじゃないんですよね。あの、一つ一つは些細なエピソード群を、時系列バラバラに見せられていく時間。膨大で断片的な時間を浴びつつ、それらが繋がって編まれていく感覚。まるで自分自身が歴史になったような、凪みたいな感情も同時に持ったんです。
あと、このマーシャ・シリンスキー監督はミスリードの天才だと思いました。映画って、こうなったんだ! みたいな、理解をしながら観ると思うんですけど、それを徹底的に肩透かしにしていく、という。
子供の視線から、死とか理不尽みたいなものを、理解しようとする、そういう意味では、どこかで「アメリと雨の物語」とも重なるかもしれない。