2026年2月 良かった映像10選

ルール:公開一ヶ月以内の映像を積極的に取り上げますが、別に縛りというわけでもなく、その時崎村がアツいと思った映像を取り上げます。10選も目安です。批評ではなく、個人的なメモを目指しています。

THEODORA - DES MYTHOS

Directed by Melchior Leroux(フランス)

ヴィジュアルの暴力…… ソール・バスとかモーリス・ビンダーのような、レトロなシネマのオープニングシークエンスのよう、と言ってしまえなくはないけど、どこか新しい感じがして、観てしまいます。なんなんだろう、やっぱり、実写とグラフィックが合体している、異物が融合して何かになっている、みたいなものに惹かれるみたいですね。

具体的には、先ほど言ったレトロ感あふれるグラフィック、衣装をはじめとしたプロダクションデザインの奇抜さ、映像としてのテンポ感の良さとダイナミックなカメラの動きなどが、クラフト感のあるケレン味とでもいえばいいのか、めちゃくちゃ濃厚なビジュアルなのに、ずっと小気味いい感じに昇華されている、というところなのだと思います。プロダクションは、Dependant。

luv - Ohaguro

Dir. 鴨下大輝(日本)

いいな〜〜と思ってみていたら、鴨下大輝さんでした。流石です。muqueの「Later」好きなんですよね……( https://youtu.be/ukXf2hG_yak?si=wOFoJvyaAApFDyhP

まず、最初のカットに引き付けられますよね。古民家でバンドが演奏する白黒のシークエンスもかっこいいし、芸妓さんのカラーのシークエンスが混ざってくるのもはっとさせられるし、車並べておはぐろにしたろという大胆なアイデアにも驚かされます。最終的に芸妓さんのシークエンスとバンドメンバーのシークエンスが交わる構成で終わるのも、とてもきれい。いいな〜〜

あの山に行きたいと思った - 初音ミク

曲・映像:しーらん(日本)

なんかこういう癒される映像に飢えてるんですよね最近。コンポジットで丁寧に実写と馴染ませつつも、胸焼けしすぎるほど厚くなくさっぱりめ。影なしの作画と相性がぴったりです。音楽と映像をおんなじ人が作っているっていうのも、惹かれるポイントです。

Harry Styles - Aperture (Official Video)

Written and Directed by Aube Perrie(フランス)

オシャレでシックな感動物かなと思ったら、、変なMVだった〜〜!

まず、ミュージックビデオなのに音楽と映像の音が混ざっているのに驚き、それに惹かれました。そして、少しずつ、映像側の音は消え、映像が音楽の音に合うようになっていきます。なんというか、良い映像って、導入が上手いと思っていて。変な世界を作ろうと思えば思うほど、その世界の中に入ってもらう、まずは乗ってもらう、みたいなところが大事なんだろうなと理解しています。

そういう意味では、さっきの音の混ざり然り、こんな作品かなと予想させつつも、違和感があり、どう展開していくんだろうという引きがずっとあるとこ然り、導入からめっちゃ上手いミュージックビデオだと思いました。後半はこうなるの、というシークエンスに目が離せません。あと、地味に繋ぎがめっちゃ上手い…

プロダクションは、DIVISION、世界的な映像プロダクションです。

Yvnnis - EMOTICONE

Directed by Léa Esmaili(フランス・イギリス)

最近、自分の中でミックスメディア的な表現への志向があるのかな、ということを感じるセレクションです。ミックスメディアなので、実写・アニメーション・グラフィック入り乱れる乱雑なヴィジュアルスタイルなのですが、それをうまくコントロールしつつ、Y2K的な世界観と、不気味さ、不穏さ、みたいなものを立ち上げている手腕が見事だなと思いました。

こんだけ各ショットはバラバラなのに、そのバラバラなものが並べられ、一つのものを形作っている、これはすごいことですよ……ミックスメディアとか、作風の違うシークエンスを扱う映像において重要なのは、理論立てて並べる積み木のような感覚よりも、むしろ、細かく切り刻んじゃって混ぜ合わせて一つの造形物をつくる、ハンバーグをつくるときのような感覚なのだ、と教えてくれるミュージックビデオです(ほんとか?)。

プロダクションは、Dependant。なんと、偶然、同じプロダクションから2つ選んでいました。

ASININE - SI LE SOLEIL EXISTE

Directed by Jules Harbulot(フランス)

やっぱり自分は、コンセプトというか、筋が通った映像が好きなんだなあ、と思った作品。人間と動物の対比を中心に、白黒の美しいシネマトグラフィーで、象徴的な瞬間の断片を丁寧に繋ぎ合わせるような独特の世界観を演出しています。

茶の味

監督:石井克人(日本)

好きでした。

dust in the wind

Aaron Mendoza(アメリカ・フィリピン)

時々、ただただ美しいシネマトグラフィーを浴びたくなる時期があって、今月もそんな時期があったのですが、その時に見つけた、映像です。まじできれいだなあ。朝焼けの空気感と、湖がそれを反射しているカットが一番好きです。16mmとかつかっているのかな。

Ice Cream

by Alec West(アメリカ)

なんか、そこはかとなく、フリクリとかキルラキルみを感じた… いい〜

진동 속 사라진 사소한 것들 (Vanished in Vibration)

Director: 권도현 Kwon Dohyun(韓国)

韓国最大規模かつ最高峰のアニメーション専門教育機関、ChungKang Animation Schoolの卒業制作の一つに目が留まりました。印象的なのは、油絵のような背景と、大きく白みを残す独特な色彩感覚のヴィジュアルスタイル。アートアニメーション寄りかと思ったら、キャラクターは、五十嵐大介を少し彷彿とさせる、日本の漫画・アニメのDNAを引き継ぐようなデザインです。Gobelinsだとこの方向にはいかなさそう。

話はズレますが、個人的に、韓国や中国のアニメが熱いと思っていて。それはやっぱり、日本のアニメに強い影響を受けながらも、ちょっと違うものが混ざってくるところに魅力を感じるからです。それは、国際的なアニメーションの潮流を敏感に吸収しているところだったり、美術教育との接続による挑戦的なヴィジュアルスタイルだったり(特に色が独特ですよね)、既存のワークフローに依らない処理を開発しているところだったり。

この作品も、粗削りではあると思いますが、そんないろんなものに影響を受けて、どこにもないものができている感覚があって、しかもそれは、日本のアニメや漫画で育った自分からすればある種すんなり受け入れられるものでもあって(やっぱり、ヨーロッパのアニメーションなどをみんなが見るようになるには慣れみたいなものがいるんだろうなということは思います)、可能性に満ちているなと思いました。